果し得ていない約束―三島由紀夫が遺せしもの 人気ランキング : 86438位
定価 : ¥ 980
販売元 : コスモの本
発売日 : 2006-11
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価格 : ¥ 980
団塊の世代必読

「果し得ていない約束」を果すために三島由紀夫は36年前、市谷駐屯地で演説後自刃した。
井上氏は三島氏の遺言(「あとに続く者あるを信じて・・・」)を再読することにより、自身の「果し得ていない約束」を最低限果すために本書を書いた。
人は誰も自身が果すべき約束を大なり小なり心の奥底に秘めて生きてきている。気付くか気付かないかの差である。「なぜ生まれてきたか」に、それはつながっている。ただ三島氏はあまりにも有能で純粋で「行動の人」でありすぎた。それを本能的に同じ心を持つ井上氏が感応して魅せられていったように思う。若さこその無謀ともいえる(学業そっちのけの)「楯の会」への入会。
私は井上氏と同年齢だが、1968年(昭和43年)10月21日、私は何をしていたか。1969年10月21日私は何を考えていたか。そして1970年11月25日(事件の日)私はどう受け止めていたか。思い起こすに、それは「国」のことではなく「自分」のことばかりであった。三島氏・井上氏の生きていたあの瞬間を、私は時代の奔流を横目で見ながら暢気にも「自分だけの青春」を過していた・・・
この本に出会って改めて三島由紀夫の「人」(批評でしかないが)と「作品」に興味を持ち数冊読んでみる。しかし何冊読んでも実際の三島氏を知る井上氏には誰もかなわない、当たり前だ。批評家は作品の分析はできても「真の三島氏」を語ることはできない。この本のまえがきから第一?終章(檄文)あとがきまで三島氏を語るに当たって必要不可欠な事を、無駄なく感情に走ることなく語り尽くされていることに、再読することで実感できる。
同じ青春時代を生きたすべての団塊の世代に、是非読んで欲しい珠玉の一冊です。特に終章の檄文は、三島氏が命に替えて世に問う、今でも色褪せない、いや今だからこそ現代を生きる私達の魂を揺さぶる名文である、と私は信じる。

未だ変わらない状況

現在の日本では,三島由紀夫の小説を経験する青少年がどのくらいいるのかさえ不安ですが,誰が読んでも共感できる内容が,檄文はもちろんそれ以外のエピソードにも本書にはちりばめられていて,人生観や国家観を自然に思索させられます.方法論として正しいかどうかではなく,義を重んじ私欲を捨てて行動した人達が存在した事実を強く受け止めるべきだと思います.若者から戦前を知る人達まで,また日本のリーダーである方々にもぜひ一読してほしいと感じました.

誤解と偏見を取り去った三島の素顔

三島由紀夫という人物は相当な誤解を受けている。
男色を題材にした作品、スキャンダラスな交遊、そして凄惨な自決。
若い世代には既に国語や歴史の教科書の中の人物でることも、その素顔に触れる障害になっているだろう。
作家、愛国者、父親……いろいろな側面があり、そのすべてが三島でもあるが、そのひとつひとつが異なる仮面、それも相当にレベルの高い仮面である。
側近の者だけが知る三島の素顔、そして真意──それを語り継ぐ一冊だ。

背筋の伸びる本

三島由紀夫氏と著者との思想信条が鋭く明快に書かれています。
また、三島氏の人物像をストレートに伝える作品に仕上がっています。

これからの日本をもう一度考え直すのには、最適の1冊。
一人でも多くの方に読んでもらい、三島氏の真髄を流れる
男の魂を知ってほしい。その時代を知らない人こそ、
読むべき本だと思います。

というわけで☆ 5つ

三島由紀夫――正気か狂気か

評者=東海大学政治経済学部教授 福島政裕

 団塊世代史の最高傑作。団塊世代が歩んできた時代背景とその生き様を、井上豊夫氏の『果し得ていない約束』ほど、的確かつ独創的に描き出した作品を私は知りません。
 1970年11月25日、三島由紀夫は「決起」を説いた後、短刀で自決しました。日本を代表する作家であるとともに、狂気のさたとも思える行動に出た三島由紀夫。三島の真の思想と行動とはどのようなものか。三島と行動を共にしてきた著者が、三島の素顔にふれながら、この問に答えようとしています。
 三島が現実を直視したように、井上氏もまた現実の直視を徹底しています。井上氏が描いた現実は客観的であり、三島事件があった時代を驚くほど正確に再現しています。確かに、真理は現実に求めなければなりません。井上氏の魅力の源泉は、正しい道理は現実から引き出すべきだ、との行動指針の貫徹にある、と私はみています。
 『果し得ていない約束』に興味は尽きません。現実直視主義がなぜ重要か。現実の直視のないところから、行動の美は生まれないからだ、と井上氏は答えるのではないでしょうか。しかし、三島のとった行動は、現実直視から生まれたと断言できるでしょうか。決起を呼びかけられた自衛隊員の行動などから判断して、そうとも言えないのでは、との反論も出てきそうです。三島は美学の世界に生き、己の美学に殉じたのではないか、との疑問です。井上氏は、どのような回答を用意してくれているのでしょうか。『果し得ていない約束』の続編を、と思うのは私だけでしょうか。
 井上豊夫氏『果し得ていない約束』は、極めて大きな衝撃を団塊世代のみならず、若い世代にも与える団塊世代史の最高傑作です。さらに、本書の原稿を発掘し、刊行した出版社編集者の洞察力のすごさにも感心させられました。深まりゆく秋、透きとおる青空に凛とした桜の花が咲いた――そんな印象を読者に与えてくれる優れた作品といえます。

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